認知症で奇声をあげるのは何故?
認知症の方は、日常的に奇声を発したり、夜間だけ奇声を発したりすることがよくあります。
奇声とは、奇妙な声や変な声を発することです。
昼間ならまだ良いかも知れませんが、夜遅くなって奇声をあげられたら、本当にビックリします。
ところで、認知症の方が奇声をあげるのはいったい何故でしょうか?
もちろん、原因はいろいろとありますが、今回は二つの側面から認知症の方の奇声について原因を探ってみましょう。
認知症で奇声をあげる2つの理由
では、認知症の方が奇声をあげる2つの理由についてご説明しましょう。
【認知症の方が奇声をあげる理由その1】
認知症になると精神面が不安定になります。
認知症の方は、加齢に伴う身体能力の低下、思考能力の衰えがストレスとなり、それが長期化することにより、うつ症状が出現することがあります。
うつ症状は、主に軽度の認知症の方に多いといわれています。
活力がない状態になり、不眠や頭重、胃腸の症状を訴えることもあります。
そして、不安感や焦燥感、絶望感を伴うこともあり、その際に奇声を発することがあります。
この場合の奇声は、ストレスや憂うつな気分が原因といえます。
【認知症の方が奇声をあげる理由その2】
認知症の方は、初期から言葉の障害がみられます。言語の異常は、脳の機能障害が原因であり、失語症と言います。
失語のメカニズムは複雑だといわれています。
言葉を発する、理解する機能の障害だけではなく、情報を受ける機能の障害もみられます。
まして高齢者の方は、難聴や耳鳴りの症状が多く、発語の障害につながります。
認知症の方が話しをしていると、発した言葉が全く意味をなさないことがあります。
この全く意味をなさない言葉が、周囲の人々に奇声として聞こえることが原因の場合もあるのです。
上記の二点に共通しているのは、認知症の方は故意に奇声を発しようとしているのではない、ということです。
認知症の方の奇声への対応について
上記の記事で、認知症の方は故意に奇声を発しているわけではないとご説明しました。
しかし、介護者にとって認知症の方が発する奇声は困った問題です。
近所に迷惑をかける、怖い、びっくりするなど理由は様々ですが、奇声がおさまってくれる方法があれば試したいと思われるでしょう。
最初に奇声の原因を探しましょう。
うつ感の原因となる状況が改善されれば、憂うつな気分が晴れる場合があります。
注意していただきたいのは、認知症の方を激励したり、非難したりすると症状が悪化し、より奇声を発することがあります。
最悪の場合は希死念慮が高まり、自殺に追いやってしまう場合もあります。
認知症の方が精神的に不安定だと感じたときは、早期に認知症の専門医を受診し、診断を受けることをお勧めします。
また、抗うつ薬の服薬によって、うつ症状の改善から奇声が減ることもあるでしょう。
普段の会話をよく聞いてください。
声が出にくいのか、発語のスピードは速いのか、遅いのか、話の内容に適切な言葉を使えているかなどを確認します。
奇声はどんなタイミングで出てきますか。
奇声を発するときの認知症の方の精神状態はイライラしているか、落ち着いているか、どちらでしょうか。
失語症には様々な障害があり、対応方法も異なっています。
状態を把握した後、耳鼻咽頭科もしくは脳神経外科などの専門医を受診して、言語訓練を行うことで奇声が改善される場合もあります。
大切なことは、認知症の方の奇声を救難信号や、症状により変化してしまった言葉だと捉えることです。
認知症の方が何を伝えたいのか考え、真剣に耳を傾けることが奇声を改善する一番の方法なのです。