認知症で「てんかん」が発症する?
認知症の合併症で、てんかんを発症してしまうことがあるということをご存知でしたか?
認知症とは、大まかに言うと高齢者の「物忘れが激しい」という症状が一般的だと思いますが、てんかんはどうでしょう?
最近では、てんかんによる事故がニュースで取り上げられていることもあります。
ですから、てんかんという言葉は耳にしたことはあるけど、実際どんな症状なのかというところまでは知らない、という人が多いのではないでしょうか。
ここでは、そんな認知症とてんかんの関係についてご説明します。
認知症によるてんかんとは、どんなこと?
てんかんとは、脳に異常な痙攣が起こり、それによって、突然意識を失い痙攣を起こしてしまうという病気です。
15秒程で発作は治まります。
では、「認知症によるてんかん」は、どんな病気なのでしょうか?
これは、認知症が進行した際に、脳神経細胞の筋肉が異常に興奮状態になり、痙攣発作が見られるというものです。
この合併症の割合は、認知症患者の約20%に見られる症状の為、珍しいものではないでしょう。
そして、認知症患者で過去に脳梗塞や脳出血を経験されたことがある人は、てんかん発作が多く見られやすいという結果があります。
また、高齢者てんかんの種類は、「側頭葉てんかん」が最も多い約7割、「前頭葉てんかん」が1割になっています。
「側頭葉てんかん」の症状は、以下のようなことがあります。
- 突然奇声をあげる
- 落ち着きなく体を揺らしている
- 焦点が定まらない
- 口をもごもごさせたり
- ぴくぴく動かしている
- 無意味に動き回るなど
- 奇妙な行動や発言をし始める
- 腰痛や腹痛を訴える
どれも、本人に自覚症状はなく、無意識のうちに起こることが側頭葉てんかんの特徴です。
このような症状に気付いたら「認知症によるてんかん発作」を疑って、専門医に受診することをお勧めします。
認知症によるてんかんが起きてしまったら?
では、認知症による高齢者てんかん持ちの方への対処法は、どんなものがあるのでしょう。
まずこの病気は、ちゃんと病院にかかり抗てんかん剤を服用すれば、ほとんどの発作を抑えることができます。
そして、この痙攣発作自体はすぐに治まるものなので、もし発作が起きてしまっても焦らず落ち着いて、様子を見つつ発作が治まるのを待ちましょう。
大抵の発作は15秒ほどで治まりますが、万が一、発作が30秒以上と長いときには早急にかかりつけの病院に受診するか、救急車を呼んでください。
突然痙攣が起きてしまって驚くとは思いますが、痙攣発作が起きているときに体を揺すったり、動かしてしまうのは大変危険なのでやめてください。
揺らしたりしてしまうと、発作が長引いてしまいます。
また、発作が起きたときの状況でも、注意すべき点があります。
例えば、食事の最中に発作が起きてしまった場合、口の中に食べ物が入っている状態では、誤嚥をしてしまう可能性があり、とても危険です。
食べ物が気管に入ってしまわないように、頭を横向きにしてあげてください。
可能であれば、口の中に残っている食べ物を出してあげましょう。
また、食事の後に発作が起きた場合、嘔吐してしまう可能性もありますので気を付けてください。
前記事で述べた通り、発作が起きる前には何かしらの前兆が見られます。
その前兆が見られたら、怪我や転倒を防ぐため、座らせてあげるか横にしてあげてください。
そして、発作が起きたその日は、その後も何度も起きる可能性があるため、外出は控え注意してください。
高齢者てんかんは、薬で抑えることができる病気なので、必ず病院に受診しましょう。