認知症の薬を飲まない場合はどうしたら良い?
認知症の薬を、認知症である本人が飲まないというケースがあります。
認知症の疑いのある親を、やっとの思いで受診させた。
そこで認知症の薬を処方されたのに、どうしても飲まない。
こんな経験をした方は、いらっしゃいませんか?
認知症の方が薬を飲まない理由は、いろいろあります。
ご家族が薬に対して熱心なあまり、「飲まない!」と抵抗する認知症の方と対立してしまう場合もあるようです。
今回は、認知症の方が薬を飲まない時の対処法などをお伝えします。
認知症の薬を飲まない!何が問題なの?
認知症の人が薬を飲まない場合、どんなことが問題なのでしょうか?
実は、認知症(特にアルツハイマー型認知症)の場合、薬を飲まないというよりも、「薬を飲む」「薬を飲む必要がある」ということ自体を忘れてしまいます。
私たちでも「風邪で辛いから薬を飲む」「痛みがあるから薬を飲む」ということがあると思います。
しかし、症状が改善してしまったら、薬を飲むのを止めたり忘れたりしませんか?
認知症は、ご本人が「痛み」や「辛さ」を感じる病気ではありません。
認知症のご本人が薬を飲む必要性を感じなければ、自然と止める、忘れる、飲まないということになるでしょう。
こう考えると、今まで薬を飲む習慣のなかった方の場合は、「いかに習慣にするか」ということがポイントです。
幸い、認知症の薬は1日1回です。
カレンダーの日にちの部分に薬を張り付けたり、家族と一緒に食事する時間に合わせるなどの方法をとってみましょう。
また、認知症の方の中には、薬に対して「これは毒だから飲まない」と思い込む場合もあります。
そのような場合には、医師や薬剤師と相談して、薬のパッケージを変えてもらうという方法があります。
アリセプトと同様の効果のジェネリック薬品に替えてもらう。
または、飲み薬のレミニールから、張り薬のリバスタッチやイクセロンパッチに替えてもらうなどでもよいでしょう。
認知症の薬を飲まないことと人間関係
認知症の方が薬を飲まない原因が、人間関係によるものというケースがあります。
あなたは、「健康のため」と家族に言われたら、どんなことにも素直に従いますか?
例えば、糖尿病や肝臓の病気があっても、お酒を全く飲まないというのは、出来ない、したくないという人もいるでしょう。
太り気味と分かっていても、甘いお菓子を全く食べないという選択は、難しいと感じている人も多いでしょう。
そんなあなたに、家族から「なんでお酒を飲むの!絶対ダメ!」とか、「自分が太っていることが分からないの?食べてはダメ!」などと言われたら、傷つきませんか?
認知症になった方にも、プライドがあります。
家族が薬を飲むことを強要したら、「こわい」「私を殺そうとしている」などと感じて、飲まないこともあります。
どんな薬も「決まった時間に毎日飲む」ことが原則です。
しかし、認知症の薬を1日や2日忘れて飲まないからといって、すぐに重大な副作用があるというものでもありません。
認知症の方のプライドを尊重しつつ、出来るだけ薬を飲めるように努力するという考え方も、大切ではないでしょうか。
どんなに良い薬でも、体の中に入らなければ効果がありません。
認知症の方の生活や性格をよく見て、なぜ薬を飲まないのかを考えましょう。
認知症の方を介護する人の「心に余裕がある」ということも大切です。
ひとりで無理をせずに、医師やケアマネージャーに相談してみましょう。