認知症とお酒のビミョウな関係について
「酒は百薬の長」とも言いますし、お祝い事などの行事や儀式には欠かせません。
一方、「アルコール性痴呆」という病名は、アルツハイマー型などの認知症が注目される前からありました。
さて、お酒との付き合い方はどうすればよいのでしょう?
疫学的調査では、全くお酒を飲まない人よりも少量のお酒を飲むほうが、認知症のリスクが低くなるという、何ともビミョウな結果が出ています。
今回は、認知症とお酒の関係について説明します。
認知症になるアルコール依存と、アルコール性認知症
大量飲酒が原因で、アルコール依存(慢性アルコール中毒)の状態になり、脳の萎縮が見られると「コルサコフ症候群」という病名がつきます。
コルサコフ症候群の症状
- 歩行障害
- 意欲低下
- 興奮しやすい
- 暴力をふるう
- 脱抑制(ものの善悪にこだわらずに自分のやりたいことをする)
- 作話(記憶が曖昧なため分かる部分をつなぎ合わせて話す)
- 見当識障害
認知症にならないようにお酒を飲む方法は?
飲酒量が増えるにつれて、「脳の萎縮」が進むことは明らかです。
では、どのくらいの量ならば「百薬の長」なのでしょうか?
海外のある疫学的調査では、350mmlのビールを1週間に1~6本飲む人が、最も認知症の発生が低かったという結果が出ました。
また、別の調査では、中年期にお酒を全く飲まない人、4週間に1回程度お酒を飲む人、4週間のうちに数回お酒を飲む人の比較をしました。
すると、4週間に1回程度の人が一番少なく、全く飲まない人はその2.2倍、4週間に数回の人は2.6倍、軽度認知障害になる危険性が高くなることが分かりました。
ただし、元々お酒を飲まない人が、「お酒を飲めば認知症のリスクが減る」という結果はどこにもありませんから、無理してお酒を飲みませんように。