認知症の原因となる頭部外傷について
アルツハイマー型認知症など、脳細胞の変性によって起こる認知症は、ゆっくり進行するのが特徴です。
ところが、2~3ヶ月の間に急に進行して歩けなくなったり、尿を失禁したりしてしまう認知症があります。
これは、頭をぶつけたり転んだりした時の「頭部外傷」による認知症で、治療をすると良くなる「慢性硬膜下血種」という病気の可能性があります。
今回は、認知症の原因となる「頭部外傷」についてご説明します。
頭部外傷が認知症の原因となる頭部外傷性認知症とは?
「頭部外傷性認知症」を起こす原因は、「脳細胞の破壊」と「脳の圧迫」によるものです。
冒頭でお伝えした「慢性硬膜下血種」は、脳の圧迫による認知症です。
本人が、頭をぶつけたり転んだりした事を忘れているくらい軽い衝撃でも、出血が少しずつ頭蓋骨の中に溜まり、やがて脳の形が変形するくらいになります。
そうなると、いつの間にか歩くときにふらつくようになったり、歩けなくなったりすると伴に、言葉が出にくくなったり尿失禁したりと認知症の症状が出てくるのです。
「慢性硬膜下血腫」は、高齢の人に起こりやすい病気で、比較的簡単な手術で完治します。
脳細胞の破壊で起こる認知症「高次脳機能障害」
一方、交通事故などにより、脳細胞の破壊で起こる認知症には、「高次脳機能障害」があります。
高次脳機能障害は、事故などの受傷後、身体が回復してから起きることがあります。
外傷としては日常生活に支障がない程度に回復しても、気分のムラが激しかったり仕事を続けることができなくなったりする障害です。
原因が事故などですから、若い人にも起こるというのも特徴の一つです。
慢性硬膜下血腫は、徘徊による「転倒」によっても起こります。
アルツハイマー型認知症の人でも、2~3ヶ月で急に症状が進んだと思ったら、脳神経外科を受診してみましょう。