前頭側頭型認知症とは?
前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう)についてご説明しましょう。
認知症というと「物忘れ」と考えがちですが、初期には物忘れの無い認知症があります。
それが、前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう)です。
この病気は、64歳以下の「若年性認知症」の4%近くを占める病気で、急に人が変わったようになることが特徴です。
たとえば、まじめに仕事をしてきた教頭先生が消しゴムを万引きしたことから、前頭側頭型認知症であることが発覚したケースがあります。
今回は、代表的な認知症の一つ、前頭側頭型認知症についてご説明します。
前頭側頭型認知症の原因と症状
前頭側頭型認知症とは、脳の「前頭部」と「側頭部」に変性がみられる病気です。
脳の前頭部(前頭野)というのは、喜怒哀楽を感じる・表現する、他人との関係を維持する・社会のルールを守るといった人間らしい行動や判断をする場所です。
そこが障害されるので、今までまじめだった人が急に万引きを繰り返す、おしゃれだった人が身なりに無頓着になるなどの人格の変化が前頭側頭型認知症の特徴とも言えます。
前頭側頭型認知症は、他にも、
- いつも同じものを食べる
- 同じ時間に外出する
- 曜日によって行動パターンが決まっている
などなど・・・さまざまな症状があります。
前頭側頭型認知症の治療
前頭側頭型認知症の治療に有効な薬は、残念ながらまだ開発されていません。
しかし、この前頭側頭型認知症は、万引き・痴漢などの「犯罪行為」をきっかけに異常に気付く場合があり、認知症の本人ばかりでなく、家族にも偏見や誤解をもたらす病気です。
そのため、少しでも人格の変化を感じたら早く専門医を受診して、前頭側頭型認知症の診断を受けることが大切です。
そのことによって、本人と家族の人権を守る必要性もあるからです。
また、天気や周りの状況にかかわらず外出しようとするなどの、頑固な「常同行動」をコントロールするために「抗うつ薬」が有効な場合があります。
前頭側頭型認知症は、非常識な行動や身なりを気にしなくなるなどの問題行動があり、家族だけの介護では対応が難しい認知症でもあります。
早期から専門医やケアマネージャーと連携を取りましょう。