認知症の介護を難しくする周辺症状(BPSD)と対処方法
認知症の方の「徘徊(はいかい)」で困っていませんか?
徘徊するような認知症は、見当識障害という「中核症状」によるものです。
認知症には、中核症状と周辺症状があり、介護を困難にする「周辺症状」の原因は、脳の障害によって起こる「中核症状」によるものです。
認知症の方の奇異な言動も、中核症状を知ることで、理解しやすくなります。
認知症のいろいろな中核症状と言動
記憶障害
記憶障害は、最近の出来事は忘れてしまい、若い頃や子供の頃の出来事は覚えています。
進行すると、自分の家族や自分の顔さえも忘れてしまいます。
ただし、新しいことを全く覚えられないかというと、そうでもありません。
新に習慣になったことや、強い不快があったときには、それを覚えています。
見当識障害
見当識とは、時間と場所の概念です。
時間と場所の概念がなくなる症状に、記憶障害がプラスして、なぜ自分がここにいるのかが分からなくなります。
自宅にいるのに「家に帰る」と言って徘徊する人は、自分の年齢や今の家族構成などを忘れています。
そのため、子供の時に生まれ育った場所を「家」と思っています。だからそこに帰りたいのです。
実行機能障害
実行機能障害は、仕事や料理の手順が分からなくなることです。
そのためにイライラして、怒りっぽくなります。
失語・失認
失語・失認は、脳血管障害などで、言語をつかさどる領域が障害されて起こる症状です。
正しい言葉を言えない・言葉を正しく理解できない・物の名前が出てこないなどです。
「鉛筆」と言えずに「書くもの」と言ったり、手で何かを書く動作したりして伝えようとします。
せん妄
せん妄は、脳の覚醒レベルが低下しているために起こる、軽度の意識障害です。
認知症ではない高齢者でも、体調の急激な悪化と、入院などによる環境の変化によって起こります。
また、睡眠剤の服用によって起こる場合もあります。
認知症のいろいろな中核症状への対応
これらの中核症状は、認知症の原因となる「脳の障害の部位」によって起こるので、残念ながらなくすことはできません。
しかし、このような中核症状のメカニズムを理解しておくと、認知症の人の奇異な言動の理由を理解する助けになるでしょう。
周囲の介護者の方々は、たいへんなことだと思います。
ぜひ、上記を参考にしながら、認知症の対応を行ってください。