認知症テストを時計を描いて診断する?
認知症テストを時計を描いて診断する方法があることをご存知でしょうか?
「認知症テストと時計」という2つの言葉だけを聞くと、ちょっとイメージが湧かないかも知れませんね。
認知症テストといえば、長谷川式認知症スケールやミニメンタルステート検査(MMSE)が代表的です。
この2つは、質問用紙や鍵・腕時計などの品物を用意する必要があります。
ところが、時計を描く認知症テストでは、紙と鉛筆だけで検査ができるのです。
この時計を描く認知症テストのことを「クロッキーテスト」といいます。
今回は、時計を描いて認知症テストを行う、クロッキーテストについてお伝えします。
認知症テストで時計を描くクロッキーテストとは?
クロッキーテスト(CDT:clock drawing test=時計描画試験)は、文字盤のあるアナログ時計を描いて、認知機能を判断する「認知症テスト」です。
クロッキーテストを医療機関で正式に行う場合は、以下のものを準備します。
【1】・・・ A4 またはB5サイズの白紙の紙
(紙の下部に10㎝、または8㎝の直線が引いてある場合もあり)
【2】・・・【1】に、直径10㎝、または8㎝の円が印刷された紙
【3】・・・【2】に、時計の文字盤(数字)が印刷された紙
【4】・・・ペンや鉛筆など
【1】の用紙では、「直径10cm(または8㎝)の円を描いてください」
次に、「時計の文字盤を描いてください」
「10時10分(または11時10分)を描いてください」・・・と指示します。
【2】の用紙では、文字盤から、【3】の用紙では、時計の針だけを描いてもらいます。
クロッキーテストを家庭や認知症専門の医療機関以外で行う場合には、白紙の紙だけでできます。
認知症テストで時計を描くクロッキーテストでは何を見る?
さて、時計を描く認知症テスト「クロッキーテスト」では、どのようなことを見ているのでしょうか?
認知症テストの「時計描画試験」の採点では
- 文字盤の輪郭
- 数字の数
- 針の記入
- その他
・・・など細かな基準があり、正しく採点するためには専門の知識を必要とします。
しかし、家庭などで行う場合には
- 文字盤の円がひどく歪んでいないか
- 文字盤の数字がおおむね正しく描けているか
- 長針と短針の区別がつくか
・・・などを見ればよいでしょう。
クロッキーテストでは、空間認識力、時計の概念が理解・表現できるかということを見ていきます。
長谷川式認知症スケールやMMSEでは、教育年数により点数が変化する可能性があります。
しかし、クロッキーテストでは、教育年数の影響を受けにくいという特徴があります。
認知症を患っていない人では、時計を描くというのは簡単なことでしょう。
ところが、認知症の人にこのテストをやってもらうと、奇妙な時計が出来上がります。
例えば、以下のような具合です。
- 円(文字盤)の中の数字が一方に偏っている
- 数字がズレている、数字が多い・少ない
- 時計の針が何本もある
クロッキーテストを実施する時には、カンニングできないように時計の見えない環境で行ってください。
認知症テストというと、身構えたり拒否したりする人もいるでしょう。
しかし、ありがたいことに、クロッキーテストは「時計を描いてください」というだけなので、検査を受ける人のプライドを傷つけません。
おや?と思う場合にはクロッキーテストを施行して、早期の受診につなげましょう。