認知症テストのMMSEについて
認知症テストの一つに「MMSE」と呼ばれるものがあります。
「桜、猫、電車」?何の事かと思われますよね。
これは、MMSEなどの認知症テストの質問にある言葉です。
「明日の記憶」という小説や映画のなかにも、登場しますね。
小説や映画では、「長谷川式認知症スケール」だったかと思います。
MMSEは、長谷川式認知症スケールと同様、認知症の状態を見るためのテストです。
「長谷川式」は日本独自のものですが、MMSEによる認知症テストは国際的基準にもなっています。
今回は、認知症のテスト「MMSE」についてお伝えします。
認知症テストMMSEとは、どんな検査か?
認知症テストのMMSEについて詳しくご説明しましょう。
MMSE(mini mental state examination):ミニメンタルステート検査は、アメリカで開発された認知症テストです。
長谷川式認知症スケールは、質問のみの検査方法です。
それに対してMMSEの認知症テストは、「読む」「手を動かす」という行動も、検査内容に含まれることが特徴です。
「長谷川式認知症スケール」と「MMSE」は、どちらが優れているかということは問題になりません。
認知症テストは、長谷川式だったりMMSEだったり、検査を受ける人の状態で使い分けたりします。
質問の内容が似ているので、2つの認知症テストを同時に行う場合もあります。
(点数は別に計算します)
医師が学会に発表する場合や、新薬の開発時には、国際的基準になっているMMSEを使います。
MMSEは30点満点で、30~27点が正常、26~22点が軽度認知症の疑い、21点以下で認知症の疑いとなります。
MMSEを行うためには、質問用紙と質問内容に含まれる紙、文章、鍵や時計、ペンや鉛筆が必要です。
(質問用紙や注意事項は、ネット検索で入手できます)
認知症テストのMMSEでは何を見ているか?
認知症テストのMMSEの質問と、その質問のねらいを見ていきましょう。
(1)「今年は何年ですか」「今の季節は何ですか」「今日は何曜日ですか」「今日は何月何日ですか」
=時間の見当識について
(2)「ここはどこですか(施設や建物の名前など)」「ここは何県ですか」「ここは何市(町・村・区など)ですか」「ここは何階ですか」「ここは何地方ですか」
=場所の見当識について
(3)私がこれから言う言葉を繰り返し言ってください「桜、猫、電車」→今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください。
=超短期の記憶(記銘)について
(4)100から順に7をくり返し引いてください。
=計算力について
(5)さっき私が言った言葉は何でしたか(順番は問わない)
=短期記憶(遅延再生)について
(6)時計(又は鍵)を見せながら「これは何ですか」、鉛筆を見せながら「これは何ですか」
=品物の理解、正しい言葉が出るかなど
(7)今から私が言う文章をくり返して言ってください 「みんなで、力を合わせて綱を引きます」
=(復唱できるかどうか)短期記憶、理解力
(8)「今から私が言う通りにしてください」「右手にこの紙を持ってください」「それを半分に折りたたんでください」「それを私に渡してください」
=言葉(聞いたこと)を理解して、行動に移せるか
(9)この文を読んで、この通りにしてください。 「右手をあげなさい」(紙に書いてあるものを見せる)
=文章(見たこと)を理解して、行動に移せるか
(10)何か文章を書いてください
=自発的に文章(文字)を書けるか
(11)この図形を正確にそのまま書き写してください(重なり合う五角形)
=図形模写、空間認識
MMSEは、長谷川式認知症スケールと同様に、誰にでも簡単にできる認知症テストです。
MMSEを使う時には、正確性を重んじるためにも注意事項をよく読んで行ってください。
認知症の疑いがあるかの判断や、進行度の目安などになりますよ。